
被災した実家の片づけを手伝ってくださるボランティアの方々=5月20日、石川県珠洲市大谷町
元日の地震発生から早くも5カ月が過ぎました。今月は、公費解体の打ち合わせなどもあり実家に帰ることが多かったです。20日には、お願いしてあったボランティアの方たちが来てくださり、実家の荷物の片づけを手伝っていただきました。大阪や神奈川、新潟県、金沢など県内外から参加してくださっていました。平日にもかかわらず金沢から来たという高校生は、学校行事の代休を利用してきたとのことでした。貴重な休みを使ってくださり本当に感謝気持ちでいっぱいです。
「そういえばこんなのあったなぁ。懐かしい」倉庫から運び出される家財の一つ一つに思い出があります。写真の右手前に写っているゴザは、お盆の帰省でバーベキューをする際に敷いていたものです。町内は仲が良く、コロナ禍前のお盆の時期には、家の前の通りにコンロを並べ、隣近所みんなで集まりワイワイとバーベキューを楽しんでいました。
黒い蓋の付いた壺がありました。 「これ何かわかる?」ボランティアさんに質問しました。首をかしげている様子を見ながら「これは炭を入れる火消しの壺」などと作業の合間に会話がはずみます。壺を眺めていると、真冬の凍える早朝に囲炉裏に火を起こす、ばあちゃんの姿を思い出しました。自分がまだ幼かったころの思い出です。赤々と燃える炭…囲炉裏こたつに潜り込んで丸まった、寒くて温かな思い出です。
それにしてもよくまあこんなにあったもんだ。軽トラック3台の荷台はあっという間に満載に。がらんとした倉庫。ここには、倒壊した家の下敷きになった場所から取り出せたものを入れる予定です。片付けがひとつ終わったことで、一歩前に進めた気がします。仮住まいのアパートで物憂げに暮らす両親も、今日は最高の笑顔です。捨てた物の数だけ、忘れてしまっていた思い出がよみがえりました。ボランティアさんたちが整理してくれたのは散らかっていた倉庫ではなく、被災後に立ち止まったままのような、私たち家族の気持ちだったのかもしれません。お手伝いいただいた皆さま、本当にありがとうございました。
いつの日か、復興した美しい珠洲の大谷町に来てください。待っていますので。

ボランティアさんたちとの会話に両親も笑顔がはじけた

ありがとうございました。こんどは遊びにいらしてください。お待ちしてます
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