復興を願い今年も開催された「あばれ祭り」。松明の火の粉が舞う中を勇壮にキリコが乱舞し、能登の祭りシーズンの到来を告げた=7月5日夜、石川県能登町宇出津
「イヤサカヤッサイ」勇壮な掛け声。大松明の火の粉舞う中に乱舞するキリコ。笛と鐘、太鼓の祭り囃子…自分の中に流れる能登人の血がたぎります。
祭りの國、能登の先陣を切る能登町宇出津の「あばれ祭り」は、震災で開催が危惧されたものの、復興の象徴になればとの思いもあり今年も無事に開催されました。この祭りは、疫病を鎮めてくれた神様に感謝をささげるため江戸時代に始まったとされています。町内には、軒先がブルーシートで覆われた家屋や道路が傷んだ箇所が見受けられましたが、住民たちが担ぐキリコが何本も練り歩くと、華やかな気持ちになりました。
震災の爪痕が残る町内をキリコを担ぎ練り歩く住民たち。キリコにつけられた風鈴の音、祭囃子…威勢の良い掛け声が通りに響いた
2日間行われる祭りの初日、クライマックスは、港のすぐ横にある広場に設置された大松明の周囲を、明かりの灯った大小様々なキリコが乱舞します。住民たちの熱気を吸い上げるように、火の粉が夜空に立ち昇っていきます。笛吹きや太鼓叩きのシルエットが炎に浮かぶ、そんな光景を見て「能登に生まれて良かった」そう呟く自分に気づきました。
松明の明かりに浮かぶ太鼓叩きのシルエット
やがて松明の火が消え、町内へと帰り、遠のいていくキリコの明かり…
耳の奥にいつまでもこだまする祭囃子の余韻が、脈々と受け継がれてきた伝統の重さを伝えています。「盆暮れ正月に帰らんでも祭りに帰る」と言われる能登人の祭りへの思いは、能登に生まれ、能登に死す者たちに流れる血そのものなのです。
父親の笛の音に合わせ太鼓を叩く男の子。小さなころから祭りの伝統が体に染み込んでいく
「イヤサカヤッサイ」勇壮な掛け声を発しキリコを担ぎ町内を練り歩く
艶やかに勇壮に太鼓を叩く女性
大松明の周囲を乱舞するキリコに乗り太鼓を叩く。人々の熱気は炎に負けない
情緒ある笛の音を夜空に響かせる笛吹きの女性
火の粉が舞い「イヤサカヤッサイ」の勇壮な掛け声がこだまする「あばれ祭り」=7月5日夜、石川県能登町宇出津
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