top of page
  • 執筆者の写真Kazuhiro Yorimitsu

仏様とおにぎり

 




 地震による土砂崩れで被災し、住職が安否不明になっているお寺の現場で、幼馴染の友人が捜索活動を続けています。地元で土木建設会社を経営する社長です。重機を操り、自衛隊や消防、警察の捜索隊の手伝いをしています。彼は地震発生以来、一度も休んでいません。  彼とは、中学生の時に部活動の軟式テニスでペアを組んでいました。ですので、互いに性格はよくわかっています。ぶっきらぼうなところもありますが、責任感の強い男です。捜索の続く現場で写真を撮っていると、「あの社長さん、本当によくやってくださいます」と、京都市消防局の隊員が話しかけてくれました。

 そんな彼がある日、同級生たちでつながっているSNSに「救助者見つからん、もう疲れた」と珍しく弱音を吐いてきました。同級生たちは心配のあまり、一斉に「いいから休め」「誰も責めないから寝ろ」と書き込みました。けれども彼は次の日も現場に立っていました。

 捜索現場の敷地に被災を免れた小屋がありました。中には泥のついた仏具がいくつか並んでいました。彼は、捜索の合間に見つけた仏具を大切に取り置いていました。かたわらに、お供えのように、おにぎりが置かれています。

 彼は、その冷めて硬くなったおにぎりを食べ、今日も泥の中で闘っています。

閲覧数:1,137回0件のコメント

最新記事

すべて表示

記事の一部訂正と追記

先日の記事「行政のトップに、あえて苦言を…」の記事中にあります、長橋漁港の災害ごみ集積場の廃止についてですが、現在、受付期間が延長になったとのことです。馬緤町の珠洲市自然休養村センター前にも同様に設置されているそうですが、いずれも土日のみの稼働です。なお、いずれも常設ではなく仮設集積所とのことです。取材不足により、ご迷惑おかけいたしました。お詫びして訂正いたします。 上記情報は、市のホームページに

Comments


bottom of page